審査を終えて
新潟大学教育人間科学部教授 小林 昭三

『謎をときあかした喜び』
中学校第一(物理・化学)分野の最終審査で注目を集めたものには、困難な壁を突破
して謎を遂にときあかした喜びを感じさせる作品が多かった。
県知事賞に輝いた「備長炭電池の研究U」は、昨年来の備長炭電池の研究課題に再挑
戦して、電池の働きと「食塩水の濃度」や「アルミの質量の変化」の関係はうまく調
べたが、なぜか2度目からは電池の力はどんどん弱まってしまう。その謎解きは困難
だ。だが、酸素中で備長炭に酸素を十分に吸着させると強い電池の力が回復した。こ
れが備長炭は空気電池と言われる理由なのだ。
教育長優秀賞は「着地猫の研究U」と「打ち水で本当に涼しくなるのか?」という2
作品に与えられた。いずれも見かけは簡単そうな現象だが、その本性に迫ろうと何度
も跳ね返された。前者は「着地猫はなぜひっくり返るのか?」を「着地猫を落下させ
る」かわりに、「ある回転軸で自由に回る着地猫」に扇風機で風を送る「風洞実験」
によって、「必ず着地方向に安定して向きを変える」効果を視覚化した。特に、着地
猫の足を同位置・同質量のクリップで置き換えて「風で向きを変える効果(重心の偏
りで回転が生じて安定化)を特定した」のはお見事だった。後者は、「強い太陽光が
そそぐ屋外での打ち水による温度変化の綿密な調査」に加えて、室内実験で「強い白
熱電燈下での打ち水による温度変化調査」によって「打ち水効果」を探求した。特
に、気温と同程度の温度の「温水による打ち水」で「気化熱のみによる温度降下」を
突き止めたのだ。
今回は、空気の流体的な性質にかかわる高度な課題が全体で5つもあり、加えて、
「打ち水」、「備長炭電池」、「野菜の爆発」の3作品で、いずれも力作ぞろいだった。
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