審査を終えて
新潟大学教育人間科学部教授・小林昭三

『意外な展開に挑む喜び』
県知事賞に輝いた「土のひび割れに関する研究」は、新潟大洪水から生まれ出た2004年を記念する作品だ。ひび割れを再現する室内実験に何度も失敗して行き詰まった時、学校のそばにある大洪水後の河川敷に現れた「おびただしい土のひび割れ」に出合った。それを丹念に観察調査し「ひびわれの法則性」に出合った。河川敷の緩斜面には「土手際ほど薄く川側ほど厚い」堆積土層が生まれていた。太陽で乾燥され「薄い層ほど」「時間がたつほど」割れ目の密度が増すことを見つけた。トレーやシャーレに泥を入れてこれらを再現した。
県教育長賞は「発砲スチロールが命を守る?」と「備長炭電池の研究3」の2作品に決まった。発砲スチロールや備長炭のような身近な素材から「ヘルメットや電池のどんなひみつ」を解き明かせるのだろうか。例えば、厚さ3センチの発砲スチロール板は4階の高さ(12メートル)から生卵を落としても割れずにそれを弾ませる意外な能力を持っていた(ポリウレタンのスポンジでは4.5メートルで割れた)。そのひみつは98%もの空気を閉じ込める弾性的で柔軟な細胞構造に潜んでいた。また、備長炭を水酸化ナトリウムで煮て不純物を取り除くことで「酸素を吸着する性能がかなり高まる」ことや「備長炭と
アルミはくの両電極で生ずる化学反応の性質」など、3年間の継続した粘り強い研究で備長炭電池のひみつを解き明かした。
他の応募作品は「光の屈折、重心さがし、浮き上がる勢い、衣服の摩擦、燃焼」など、身近な現象を探求する過程で意外な展開に合い新戦略を立てなおして何度も挑み続ける中で、奥に潜む本性をついに解き明かす喜びに到達するものが多かった。
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