審査を終えて
上越教育大学副学長・戸北凱惟

『科学的な文章は信頼の基礎』
最終審査に残った研究に共通に言えることは、テーマと確かめ方法と先の見通しを持ちながら研究を進めていっている点です。身の回りの会話は雰囲気でわかるのですが、しっかりした信頼される表現は、それなりの体裁が必要です。科学的な表現はデータを示して論理的に説明することで信頼されます。皆さんの研究は「不思議だな」という疑問を持ち、筋道を立てて、「なるほど」と思わせる証拠(実験)を示して述べています。また、図やグラフでわかりやすく示す力も見えます。
県知事賞の「打ち水と温度の変化」は実際に打ち水をして確かに気温が下がることを確認した後、水をもっと多くしたらどうか、日当たりと日陰ではどうか、風の影響はどうかといった疑問を次々に実験し、結果を出しています。結果の応用とエネルギーや環境の問題を含んでいたことも評価されました。「カタツムリのかんさつと研究パート2」は2年生までの観察の続きだけあって、丁寧な観察をしていて、自分の言葉と参考書を調べ科学的な用語も使って表現しています。「水とお湯 どちらがはやく氷になるか」は科学者も論争に加わったテレビ放送をヒントにしたもので、家庭の冷蔵庫を使って実感したものです。沸騰した湯の方が早く凍るという実験結果について、審査員も驚きましたが、理由はともかく自分で氷のでき方を確かめ測定したことが評価されました。
ほかの研究にはダンゴムシの観察、モノの浮き沈みの丁寧な実験、指先の感覚、ブーメランなどの製作したものから原理をさがす実験がありました。共通した問題点もあります。それは、偶然の結果を信頼してしまうことのないよう、科学的な追究では繰り返しの実験が必要だと言うことです。
|
|