審査を終えて
新潟大学教育学部准教授・興治文子

『丹念な作品 甲乙つけがたく』
今年度の作品は時間をかけて丹念に研究した成果をまとめたものが多く,甲乙つけがたいものでした。県知事賞と県教育賞の2作品は2年間の継続研究でした。前年の研究で不十分だった実験条件を整えたり,解決できなかった問題点の解決に取り組んでおり,粘り強く研究を進め,1つ1つの実験を丁寧に行い,膨大なデータをまとめて分析していた姿勢に大変好感が持てました。
ユーチューブで話題になっているという,特定のお菓子を炭酸飲料水に入れたときに泡が高く吹き上がる現象の謎に迫った「メントス・ガイザー発生の謎を探る」,目を細めたときに光が細長く見える不思議さを追求し,カメラにつけまつげをつけて実験した「まつげから伸びる光りの研究」は着眼点が面白く,審査員が読んでいても楽しいものでした。
また,素朴な疑問を研究テーマにした「カレーの染み抜き方法」や「紙で指が切れる謎を追う」では,自分の知っている実験方法をいろいろ試し,原因に迫っていました。「雑草水素の燃料電池への活用」では,雑草についている,ある微生物から水素が発生することを利用し,水素が発生する条件や効率について探っていました。エネルギー問題の解決には科学的な原因の解明と科学技術の進歩が欠かせません。今後ますます重要になってくる課題だと思います。
応募作品の中には高校や大学で勉強すれば簡単に原理がわかる題材もありましたが,中学生が知っている範囲で工夫して研究を行うことは,科学者がそれぞれの分野での原理をつきつめていった科学史をたどることでもあります。今後も身近で疑問に思ったことを忘れずに,仮説を立てて実験を積み重ねて,コツコツと追求していくことを楽しみにしています。
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